Interview

依頼者とのコミュニケーションが
あるべき場所にあるべき形を生み出す。

高山英樹 木工作家

木工作家。石川県出身。海外を旅しながら、内装や家具を
制作。現在は、益子に移住し、作品を国内外で発表。

依頼者とのコミュニケーションが
あるべき場所にあるべき形を生み出す。

僕の作るテーブルとかもそうだけど、僕が作品として作ったっていうよりは、依頼者の思いをちゃんと受け取って、その場所にテーブルを置くことの意味を考えて、作っている。
何か自分が作った作品ですとか物ですみたいなことよりも、そこに存在する意味がちゃんと現れて、依頼者と僕とのコミュニケーションの表れでもあってもらいたいから。そういう形で作っていきたいなってずっと思っています。
だから、作ったからどうぞっていうよりは、どこに置くのか、どういう思いで依頼したみたいな、そんな流れをちゃんと踏まえたいなっていうのがあって、その想いはずっとあるんです。
あるときなんか、どこに向かっていくのかがだんだん自分でわかったときがあって。その時は、納める場所に収めたときに依頼者が、素敵なものを作っていただいてありがとうって。いいでしょって僕が言ったりするんだけど、その会話のシーンをイメージして、そこに向かって作っていく。だから、空間も見させてもらって、見られないときは、データやいろんな情報をいただくんだけど、何かそのシーンみたいなものに向かって作っていって、実際そこの現場、収めたときにそんな感じになっていく。というのが理想です。
最初はまず会話して。最初言葉じゃないですか、言葉でお互いにモチベーションしますよね。そこから始まって、ある一定期間、お互いセッションしたり、作業したり、ちょっとした会話が4ヶ月とか5ヶ月とかの後に本当に出現するわけじゃない。
この家の中に、結局何もない。本当に何もなかったものなのに、そうやってお互い話し合って作ろうねって言ったときから始まって生まれた未来を作れるってことなんですよね。イマジネーションですよね。
自分がイメージしてた何ヶ月後にイメージした生活っていうか、空間の中に自分が入れるんだよね。そのことをちゃんともう1回考えたら面白いよねっていうことを伝えながら進めていますね。居心地のいいところに行きたいんだよね、僕は。だからそれが自分でもそうだし、依頼して収めるとこだって居心地のいいところにしてあげたいし。全体こうなって欲しいよねとか、空間意識をもっとみんな持ってもらいたいなっていう思いがあるわけです。

移動することで、新しい自分が見えてくる。

フリーで、依頼されてる仕事もこなしながら、海外旅行行き始めた時から、始まっちゃったんですよね。その旅行ですごい人生が明確になったっていうか、それはもういろんなところ行って4ヶ月ぐらいアメリカとかメキシコと中米回って帰ってくるんだけど。その後、パリに行くんだけど、一番しっくりきたのはパリだったりする。いろんな場所を回って、自分が子供のとき味わった日本の風景みたいな、すごく癒されて幸せ感があったから、そういう暮らしぶりをしながら何か、単純に東京とかニューヨークとか、そういうのも知ってるし、でも田舎も知ってる、ちゃんとバランス取れる生活してるのが一番面白いなって。
その後東京帰るんだけども、もうちょっと自分のペースで全部作ったりとかもやってみたいから東京じゃ無理かなってなって、どこだろうって思ってたら益子が見つかって、いろんなことを自分で自由にやれるようになった。だから、その旅行がきっかけです。
移動することで、前にいた場所が俯瞰で見れるし、新しいものがあれば戻ればいいし、だからそうやって移動することで、そこにいたときの関係性でいいこともある。自分がどういう人なのかという意識や、どこを目指せばいいのかみたいなことを一生懸命考えるようになるから、それって同じとこにずっといるとわかんなくなっちゃうから。移動することって、すごい大事だと思う。

暮らしぶりが大切。その場所を心地よくさせたい。

今日の農家って、田舎のカントリーサイドの景色が一番綺麗になってた土手とかがあって、ちゃんと定義されてる景色ってすごい綺麗じゃないですか。それを僕は文化だと思っていて、海外とか行ってもそれがすごく綺麗なとこってやっぱり文化が高いから。工業的になっていくと文化的な部分が薄れて、先進国じゃなくてもすごくちゃんと丁寧にやってるところとかってやっぱり人として綺麗だよね。だんだんリンクしていくんだけど、結局は、暮らしぶりなんですよね。だからそういうとこ、自分も含めてそこの中にいたいっていうだけの話で、心地よく暮らしていくところを増やしていくっていうそういう意識の人が増えてくれるといいですね。

  • 木工作家の高山さんがUNIversal FORMのために制作したトルソー

     
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